酔拳ですか

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カツオ、かつてのチームメイトと試合をする事となった。

2年位前に移籍してしまったし、学年も彼のほうが3つ上なので試合で対戦する機会もなくそれ以来初のお手合わせ。

 

カツオ、クラブ内のマッチでこの子に勝った事がない。

いい試合になる事がたまーにあっても勝たせてはもらえなかった。

 

クラブをやめてしまってもたまに試合会場で会えばカツオはその子にちょっかいをだしに行き、オラ!wと胸ぐらを掴まれてキャーキャー言ってじゃれあっている。

普通に仲が良い。

 

カツオは鼻息フンフンで、勝ち逃げ(移籍)されたから今回は勝ってやるんだと試合に臨んだ。

 

正直、カツオには厳しい相手。

でも相手の得意な事はわかっている。

スライスとサーブ

これに注意する必要があった。

といっても中学3年生でも早い方のサーブ、特にファーストサーブはカツオにはちと厳しい。ワイドにくるサーブはバウンドして横に切れて行く。

カツオが飛びついてラケットに当てても明後日の方へぶっ飛んで行ってしまう。

当たり前だけどカツオが一緒に練習していた頃とは格段に技術、パワー共にレベルアップしている。

 

セカンドサーブは以前から得意としていたスピンサーブが飛んでくる。

オムニなのにめちゃめちゃよく跳ねるスピンサーブはカツオがジャンプしても頭の上でキャッチしないと取れない。

 

カツオはこの子のサーブに慣れるまでだいぶ時間がかかった。

 

この子は小学生の頃からコーチに注意されるほどスライスを多用する子だった。

今はスライスはこの子の武器になっている。

当たり前だけど小学生のスライスとは全くの別物。

ほんと素晴らしかった。

ちなみにカツオもスライスは好き。(コーチ談)

スライスをスライスで返し、またえげつないスライスが飛んできてそれもまた・・・とスライスの応戦となったが、見ていたコーチはブツブツと「それでいいそれでいい」と言っていた。

3セットの試合だったので1セットを相手の球を見て合わせる事に費やしたカツオ。(コーチ談)

コーチが言うに最近のカツオはそういう戦い方をするんだと言う。

 

確かにカツオは色々チェックしているようだった。

例えばサーブ。

カツオは相手サーブの時コートの一番外のライン(ダブルスで使う横のライン)より更に外側で構えた。もはやコートの外。場外。どこで構えてるの?って感じ。

初めて見るわそんなとこで構える人。

インコース打たれたらエース確定だ。

コーチを見るとニヤニヤしていた。

何をしているかお見通しのようだ。

 

それを続けてではなく、ゲームをあけ何回もしていた。

 

インプット完了。(本当かよ)

1−4から少しづつ球に合わせられるようになったが4−6で落とす。

 

セカンドはコーチの言った通りカツオが相手の球にだいぶ合わせられている。

ここでカツオは私が初めて見る事をしだした。

 

うまく説明できないのがもどかしいのだけれど、相手のサービスゲーム、カツオはグッと腰を落として構える姿勢を取らない事が多々あった。

 

相手がサーブを打つ際、ラケットを両手で握り構えるもゆらゆらと2、3歩右に行ったり左に行ったりポジションを固定しなかった。

例えるなら酔拳(?)

相手はその動きが気になりサーブの態勢に入りトントンとボールを手でつきながらカツオをチラチラ見る。

「何やってんだアイツ」って感じだろう。

 

コーチは「お!カツオ心理戦だな!」って笑う。

私はコーチにあんなことしていいのかと聞いた。

このくらいなら妨害行為には当たらないので全然いいとコーチ。

でもカツオが心理戦とかできるわけないよな。

あとで要確認だ。

相手選手ダブルフォルト。

 

このパターンが数回あった。

相手選手は完全にリズムを崩し・・・

セカンドを6−0で取る。

 

ファイナルもカツオペースで4−1までいく。

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ここでカツオは”遊び”だした。(コーチ談)

ヘッドコーチはいつもこのカツオの”遊び”を否定しない。

(”遊ぶ”はふざけるということではないです)

カツオは試合を楽しんでいる、コーチはそう言ってくれる。

これで負けてしまう事もあったりするけれど、ここはカツオの良さでもあるのだろう。

 

で、すんごいアウトのボールを打ち返し失点。

 

ここから流れが嘘のようにガラリと変わる。

カツオがこの試合積み上げてきたものがオジャンとなってきた。

アホだ。

まだまだ詰めが甘い。

結果6−4

ギリギリの勝ち。

 

 

カツオに試合後聞いてみた。

まずファーストセットのコート外でのリターンの位置取りについて。

 

ワイドに切れてくるサーブが手に負えなかった。

インコースに全然打って来なかったからもしかしてって思って、インコースに打たせようとダブルスサイドラインより外に構えた。

何度かやってみたけれどそれでもインコースに打ってこなかったから打たないんじゃなくて打てないんだと確信した。ワイドのサーブだけに対応できればいいんだとその後のポジション取りが楽になった。

 

次にゆらゆら歩いて(?)リターン時にとまっていつもの構えをしなかった件

 

サーブのリターンに自信がまだなかったから、プレッシャーを掛けたとのこと。

 

 

カツオは言った。

私に言われる前に言ったと思われる。

「言っとくけどね、これは反則じゃないからね?全然いいんだよ。し・ん・り・せ・ん!」

 

なんかムカつく。

 

付け加えて言った。

「まともに打ち合っても太刀打ちできない相手には何かしなくちゃ勝つことなんてできないんだよ」

 

あーなるほど。

カツオのオツムの成長を感じた言葉だった。

 

ちなみにこの次の試合でも同じような事をやっていた。

 

今回の大会はU16。

コーチに1つ16歳で出てみたらって言われて出てみた大会。

小学生だしまだ早いのではって思ったけれど、終わって見れば学ぶべきことは本当にたくさんあった。

カツオは身体だけではなく頭を使い戦ったし、私はいつものカツオと違う一面も見られた。

オラー!って言って球を打ったり(笑)、絶妙なところに打たれたドロップには「取れるー!!」って叫びながら必死に走った。

(オラオラ言ったのは相手より球威のない自分の球を声を出す事で少し割り増しして見せるため・・・と私は思ってる。)

今まで何も考えていないと思っていたカツオが勝つ為に色々考えて試合をしていると知れた。

 

U14になった時、歳上との試合はノーストレスでただ楽しんで試合をしていると思ってた。

ましてやU16なんて遠足に行くみたいな気分で大きい子はどんなテニスをするんだろうとただただ楽しみなだけだと思ってた。

でもカツオはどんなに上の相手とやるときも楽しみつつも勝つ事に執着しているとわかって私はとても驚いたのだ。

 

それにしてもスライスのラリーって見ているのは本当に心臓がやられる。

スピードの緩い球をゆっくり右へ左へ目で追いかけるのは試合をしている2人と同じくらい見ている方も我慢比べだ。

球のスピードと同じようにジワリジワリと心臓がやられていく。

あれはもう当分見たくない。

毎回あんなスライスのラリー戦を見せられたら間違いなく消耗し老けるスピードが増す。

 

 

さあ今年もカツオに振り回され忙しい年になりそうだ。

 

母、老体にムチ打って頑張る。

 

 

そう言えば、ヘッドコーチがこの試合後ボソッと言った。

 

 

 

「久しぶりにハナコの暴力的なテニスがみたいなぁ・・・」

  

 

コーチ面白すぎる。

  

 

おわり

※ハナコ=カツオの姉

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